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危険な相続放棄

  • 執筆者の写真: 京都やましろ法律事務所
    京都やましろ法律事務所
  • 7月31日
  • 読了時間: 2分

 父が死亡した,相続人は母(配偶者)と子(便宜上1人と仮定),生活のため母から相続放棄(父の死後原則3か月以内に家庭裁判所へ申述するという正式な手続)を求められた子はそれに応えてよいか?

 答えはNOです。

 上記ケースで子が相続放棄をすると,次順位の直系尊属(父の両親,祖父母)が相続人となります。直系尊属がすでに全員他界していたり,相続放棄した場合は,次順位の兄弟姉妹(父より先に死亡した兄弟姉妹がいる場合,その代襲相続人としての甥姪)が母(配偶者)とともに相続人となります。よって,母はこれら次順位の相続人と父の遺産について分割協議する必要が生じますが,他の相続人全員が母の希望とおり相続放棄したり,母が全て取得する遺産分割に応じてくれることなど現実的に期待しない方がよいでしょう。もらえるものはもらいます,というのが大多数という印象です。

 ではどうしたらよいか?子が母の希望に応えたければ,母と子(法定相続分は各2分の1)で,母が全財産を取得する(もしくは大部分を母が取得する)遺産分割協議をすればよいのです。母を思う気持ちから決して相続放棄をしてはいけません。

 上記ケースにおいて相続放棄はより複雑な法律関係を生むだけであり危険です。

 笑い話にもなりませんが,現実にはあるあるなので,ご注意ください。

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